ファウスト第1部

ヨハーン・ヴォルフガング・ゲーテ著、池内紀訳、集英社文庫
新訳決定版 ファウスト 第一部 (集英社文庫ヘリテージシリーズ)
ドイツの文豪・ゲーテの言わずと知れた名作。悪魔・メフィストフェレスと契約した「学者」のファウストの遍歴。この第1部は若返ったファウストによって悲劇に見舞われるマルガレーテをめぐる物語が中心となっている。
戯曲だから、基本的には難解な物語である。原文は韻文で書かれているそうだが、訳は大半が散文となっている。池内氏はあとがきで

名のみ高くて読まれることの少ない古典を雲の上に祭りあげるかわりに、われらの同時代に引き込もうとした。

と理由を説明しているが、それでも難解である。
ただ、翻訳の思想は「カラマーゾフの兄弟」と似ている。今回、この「ファウスト」を購入したのも、「カラマーゾフ」のモチーフとして使われていたらしいからである。その意味では、この「ファウスト」もまた、私にとっては「カラマーゾフ本」の一つだと言える。