オーデュボンの祈り

伊坂幸太郎著、新潮文庫
オーデュボンの祈り (新潮文庫)

江戸時代から外界と遮断されている島を舞台にしたミステリー小説。
未来を予言できる案山子や、「法律」として犯罪人を射殺する男など
不思議な島民が次々と出てきます。
雰囲気は何となくM・ナイト・シャマランの映画「ヴィレッジ」を彷彿とさせますが、
あの手の「種明かし」的な要素はありません。

伏線を多用したラストのまとめ方はうまいと思いますが、
「島に欠けているもの」の正体については拍子抜けしました。
全体の物語との関連性が不明だったもので…。

また、読み始めのころは

ようやく到着した南極点に、別の男が旗を立ててたとでもいうような

とか

うなずけるのは、能天気な子供くらいだ

というような違和感のある比喩に悩まされたが、
後半は気にならなくなった。
これにも何かの意味が隠されているのかもしれませんが、私には理解不能でした。

いわゆるシュールな世界が好きな人向けの小説なのでしょう。
「癒し」や「救い」も得られると思います。
そういう意味では時代に合っているのかもしれません。