米軍再編と在日米軍

森本敏著、文春新書
米軍再編と在日米軍 (文春新書)

メディアなどでここしらばく話題になってきた在日米軍再編について包括的に復習するには格好の本だと思います。
米軍全体や在日米軍の現状についてもかなり細かく書かれていて、資料的な価値も十分です。


ただ、帯にあるように「日本の防衛と在日米軍はどう変わるか」という部分にたどり着くまでに
陸海空海兵4軍のどこどこの兵力構成やらのデータを延々150ページほど読み進めないといけません。
そういう意味では通読するのはややつらいと思いました。


それと、在日米軍の本であるにもかかわらず、沖縄の現状についての記述が少なすぎるのにも違和感を覚えました。
著者自身、「在日米軍基地の再編・移転にのみマスコミの焦点があたっている」「米軍施設があるから負担があるという見方は、物事の一面しか論じていない」と記しているように、「沖縄の負担」を強調するマスコミのアンチテーゼとして本書が書かれたのかもしれません。
しかし、沖縄の現状や、現実としてある「沖縄の思い」にほとんど触れずに「在日米軍」を語ったことになるのか、
いささか疑問が残りました。