有頂天家族

森見登美彦著、幻冬舎文庫
有頂天家族 (幻冬舎文庫)
森見氏の今回の作品は、やはり奇抜な設定で、狸一家が主人公。京都を舞台に、化けながら人間のような生活をしている狸と、人間、天狗が織りなすドタバタ劇となっている。物語の軸は、狸の頭領たる「偽右衛門」就任を巡る騒動で、子供っぽいところはあるものの、人間くさくて笑える。そして、通底するテーマは、ライバルである弟狸の奸計に落ちて狸鍋にされて食われてしまったという、一家の亡父の言葉に集約されている。

「面白ききとは良きことなり!」