ピカソ 巨匠の作品と生涯

岡村多佳夫著、角川文庫
ピカソ  ――巨匠の作品と生涯  Kadokawa Art Selection (角川文庫)
フェルメールに続く、KADOKAWA ART SELECTIONの第2弾。東京造形大教授が、ピカソの人生を年代記的に追いながら、創作の背景を探る。
「青の時代」など、言葉としては何となく知っていたことが、ピカソのその時代の生活とともに解説されることで、現実味を持って理解することができた。たとえば、ピカソが生涯で断続的に闘牛をモチーフとした理由について

「傑作とは、死に打ち勝つことである」といったジャン・コクトーのように、彼らもそれを克服しながらさまざまな作品を残していったのである。それはともかくとして、少年時代に見た闘牛はピカソを魅了し、それは生涯続くのであった。

としている。
ただ、「キュビズム」の理論的なことは分かったが、そこに至る背景の解説には物足りなさを感じた。おそらくピカソ自身も多くを語っていないのだろう。
さて、次は誰を取り上げるのか。私はセザンヌ(か印象派の誰か)あたりではないかと思っている。あるいはルネッサンス期のイタリアに飛ぶか。いずれにしても、TVの「美の巨人たち」同様、楽しみなシリーズである。