罪と罰2

ドストエフスキー著、亀山郁夫訳、光文社古典新訳文庫
罪と罰〈2〉 (光文社古典新訳文庫)

ラスコーリニコフの苦悩は続き、予審判事、ポルフィーリーとの対決が始まる。ポルフィーリーについては、高村薫氏の作品にそのあだ名を持つ冷徹で嫌味な刑事が出てきた。本作中では、確かに嫌味な人物として描かれているが、何しろ、実際に殺人を犯したことが読者に知らされている主人公を相手にしているのだから、そこまでの嫌悪感は抱けていない。それだけ物語に感情移入ができていないのかもしれない。
それよりも印象に残った場面は、家族のために身を売る少女、ソーニャについてラスコーリニコフが思いを巡らす場面。

運河に身を投げるか、精神病院に入るか、それとも…それとも…いっそのこと性の快楽に身をゆだね、理性を麻痺させて、心を石にしてしまうか

男(特に若い男)の、女性に対する思い込みがよく表れている。