メディチ家

森田義之著、講談社現代新書

メディチ家 (講談社現代新書)

ゆえあってメディチ家について調べる必要があったため、図書館にて借りて読了。表紙が画像と違う(読んだものは黄色の表紙で、絵画が載っている)が、おそらくこの講談社現代新書自体の体裁の変更によるものだろう。シンプルなものが好まれる流れになっているのかもしれない。

本を読む限り著者が何者かは分からないが、おそらく歴史家なのであろう。13世紀のメディチ家の起源から、血統が途絶える18世紀までの人物や出来事が淡々と述べられている。メディチ家を世に知らしめたコジモ・デ・メディチやロレンツォ・デ・メディチ、あるいはフィレンツェの君主となるコジモ一世らについては多少重きを置いているものの、基本的には事実の羅列である。各人が果たした芸術などへのパトロネージに果たした役割についても項目を設けて紹介しているが、これも基本的には作家と作品の羅列に終始している。

メディチ家の繁栄と衰退を追うことはできるものの、繁栄についても衰退についても抑揚がなく、印象として残るものは少ない。新書という体裁もあり、メディチ家の歴史を概観するための本だと言われればそれまでだが、何とも印象の薄い読後感である。